2018/06/09

アオサギが城山のアカテガニを滅ぼす?

写真を撮ってから二週間も放置してしまった(撮影日は2018年5月26日)。

徳島県徳島市のJR徳島駅裏にある徳島中央公園。ここは県庁所在地の市にある県下最大のターミナル駅から徒歩で行ける距離でありながら、アカテガニが多数棲息するという珍しい場所ですが、それを可能にしているのは、放仔が出来る汽水の川(助任川)がすぐ近くを流れていて、成体のカニが暮らすのに欠かせない木々が生い茂った山(城山)と脱皮に必要な水源(公園内にある小川)とアカテガニが暮らすのに必要な環境が揃っているからこそですが、最近、城山にアオサギがコロニーを作るようになり、木々が大量に枯れているそうです(徳島新聞記事)。

知ったのは最近ではないし、アオサギのコロニーも見た事はありましたが、アカテガニが活動する季節に改めて行ってみると…臭う。アオサギの糞の臭いか、アオサギが捨てた食べかけの獲物が腐った臭いかあるいはそれらが混ざった臭いかとにかく臭う。そしてアオサギの鳴き声がかなり聞こえてくる。コロニーの写真を撮った後、日没後に改めて来てみてもやはり鳴き声は聞こえていました。

近隣住民の声として、阿部珈琲館の方にアオサギについて伺ってみると、『臭いしうるさいから行政に訴えているけど、行政としてもどうにもならないと言っている』との事でした。

南方熊楠が頑張って天然記念物に指定された和歌山県田辺市の神島(かしま)では一時カワウが大量に棲み着いて、糞害によって神島の森の木々が大量に枯れるという事態が発生したそうですが、そちらは爆音機を使ってカワウを追い払ったそうですが、無人島でしかも無許可上陸禁止の神島と違ってこちらは近隣に人が住んでいるので、爆音機も使えないしなぁ…。

アオサギコロニー20180526
↑アオサギのコロニーをズーム撮影。
城山の海蝕痕20180526
↑アオサギのコロニーはこの看板のある辺りから撮りました。
アオサギに食べられた?ザリガニ20180526
↑アオサギに食いちぎられた?ザリガニの亡骸。美しい物ではないので一応モザイクかけました。
餌?20180526
↑もしかして誰かがアオサギに餌を与えている?!17:33:30に撮影した時はこのように餌がありましたが…
餌が無くなった岩20180526
↑20:44:26にはもう無くなっていました。カラスがこの餌を咥えて飛んでいくのを目撃しましたが、全てカラスが食べたという訳ではあるまい。もし誰かが故意にアオサギに餌を与えているとしたら、そりゃアオサギが増える(殖える)わな。
アカテガニ脱皮殻20180526
↑公園内の小川で見かけたアカテガニの脱皮殻。これ以外にもいくつか見かけました。
踏みつぶされた?アカテガニ20180526
↑これは…故意に踏みつぶされたアカテガニ?美しくはないのでモザイクかけました。
ホルトノキ20180526
↑小川の近くのホルトノキ。この公園内のホルトノキは枯死している木多数らしいけど、アオサギのコロニーの近くにはホルトノキはあまりないらしい。

日没後、改めて生きたアカテガニを探すべく公園を再訪すると、小川の近くで幾らか見られました。上三枚(一枚目と二枚目は同一個体だけど)の画像のカニはかなり大きくて立派でした。まだ放仔シーズンには早いので、2016年7月訪問した時のように助任川近くの遊歩道では見られませんでした。

アカテガニ1-120180526

アカテガニ1-220180526

アカテガニ220180526
↑画像上三枚、かなり大物の個体がいました。一番上の画像のカニと二番目は同一個体…だったと思う。
アカテガニ320180526
↑思っていたよりピントが合っていなかった…。これは♀?(確認していない)
地上を歩いて移動するザリガニ20180526
↑アカテガニを探している最中、地上を歩いて移動するアメリカザリガニに出会ってちょっとびっくり。日没後に来るとやはり日中には見られない生物の行動が見られるのだなぁ、と感心。

アオサギの糞害によって城山が禿山になるほど木々が枯れて、アカテガニが滅ぼされるという事態がすぐに起きないとは思うけど、一抹の不安は感じます。徳島県ではアカテガニが準絶滅危惧種に指定されているそうですし。
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2017/11/05

神前神社はアカテガニとサワガニが共存する森だった

2017年11月4日、この時以来久しぶりに三重県伊勢市の神前神社に行ってきました。目的は、前回は夏の暑い盛りなので当然アカテガニが活動中でしたが、晩秋11月はまだ活動中か?それとももう冬眠済みか?の確認のためです。

この記事のカテゴリーはアカテガニにしてありますが、神社の話も結構書いてあるので、鎮守の森・磐坐信仰・神社でもあるし、サワガニの話もあるので、その他水のいきものでもあります。

ところでここ神前神社はアカテガニの棲息数がかなり多いですが、その理由は

①山林の中なので木々が多く、空気中の湿度が維持されている。
②海岸と山林が道路など人工物で全く分断されていない。
③脱皮する時必要な淡水(小川)がある。
④石の階段の隙間が隠れ家として好適。

…という具合に、アカテガニ好みの条件が全て揃っているからでしょう。

かつて南方熊楠神社合祀に反対した理由に、神域であるからこそ開発を免れ、貴重な自然が維持されてきた場所が失われる事を危惧した事も理由らしいですが、神前神社にアカテガニが大量にいる環境が維持されてきた理由は、ここが神域である事も関係ある訳です(しかし他ならぬ三重県は神社合祀がかなり積極的に行われ、なんと9割!もの神社が消滅したという)…と推測したんですが、神前神社の歴史を調べてみたら、ここ小井戸口山山頂に遷座されたのは明治以降との事なので、それ以前は薪炭林として地元の人達によって木が刈られていたのかもしれない(資料がないので詳しい事は分かりませんが)。

神前神社の階段(参道)20171104
神前神社は100㍍近い高さの小井戸口山(こいどぐちやま)の山頂に鎮座する。故に参道は階段が長く続く。
神前神社の階段の巣孔20171104
↑階段の至る所にこういった孔があり、アカテガニの隠れ家として最適。

こんな季節だからアカテガニ、いるか?いないか?でしたがいました三個体のみでしたが。撮影したのはこの二個体で、あともう一個体は下のサワガニのすぐ近くにいました。

神前神社のアカテガニ♀20171104
↑↓気温が低いから動きが夏より鈍いけど、撮影には好都合。スウェットパーカー+長袖Tシャツだったけど、階段を上っていたら、そこそこ暑く感じられた。
神前神社のアカテガニ♂20171104

…結果としてですが、♂と♀、甲羅まで赤いタイプと甲羅がグレーで黄色が少し入るタイプと、♂♀性差、アカテガニの色のヴァリエーションを示すサンプルとしては、絶好の結果になりました。

神前神社20171104
↑山頂にある神前神社社殿。ここには許母利神社(こもりじんじゃ)・荒前神社(あらさきじんじゃ)も同座していて、伊勢神宮所管社125社巡りをする際、ここに来れば三社詣でた事になる。
神前神社社殿裏20171104
神前神社社殿裏。この画像では分かりにくいけど、海が見えています。

ここに棲むアカテガニはこの裏の海岸で放仔しているのか?と思って去年9月(これと同じ日)に神前神社のほぼ裏手の海岸に行ってみたんですが、アカテガニは一個体もいなかった。初旬とはいえ9月では遅かった?いや、ここはちょっと波が荒くて、アカテガニ的にも怖いから?その後(この時)『ここで放仔している?』と思わされるポイントがあったけど、そこは干潮の時でないと歩いて行けない。

神前神社社殿裏祭祀道具?20171104
↑社殿裏によく見たら、この画像のような素焼きの盃のような物がいくつか落ちていました。もしかして、ここはかつて祭祀が執り行われていて、これは祭祀道具?

上に『脱皮する時必要な淡水(小川)がある』と書きましたが、ここは本当に山から湧き出した綺麗な水が流れています。

神前神社の小川20171104

前回来た時も思いましたが、『これだけ綺麗な水が流れているならサワガニもいるのでは?』と思い探してみたら、やはりいました。採集済みのサワガニは先週も見ましたが、フィールドでサワガニを見たのは久しぶり。

神前神社のサワガニ20171104
↑この地域のサワガニは、甲羅が茶~黒、脚がオレンジのタイプで、愛知県と同じ。このサワガニ、発見した場所から撮影しやすい場所に20㌢㍍くらい移動させました。つまりこの写真はやらせ。

サワガニは水が綺麗なところにしかいない。言い換えると、水が綺麗なら大抵のところにいる。例え海のすぐ近くであっても。

以下はおまけ画像。

神前神社近くの柿20171104
↑神前神社参道入口近くの柿の木。葉が落ち、熟した実だけが残る晩秋の風景。
神前神社近くの地蔵尊20171104
↑柿の木の近くにあった地蔵尊像。
カルビ丼+海鮮スン豆腐20171104
↑この日の昼食。韓丼のミニカルビ丼と海鮮スン豆腐とキムチ。食べた場所は松阪店
2017/08/20

『大阪南港野鳥園臨港緑地 夜のアカテガニ観察会』に参加してきた

大阪市内にある『大阪南港野鳥園』に多くのアカテガニが棲息していると知ったのは最近の事。そしてそこで、『夜のアカテガニ観察会』が2017年8月19日に催されると知って、『行ってみよう!』と思い立って行ってみました。なにしろ都市部で大規模なアカテガニ棲息地というのは、結構珍しいので。

17:30に展望塔会議室に集合して、アカテガニに関する基本的な事をレクチャーされた後、展望塔2Fで日が沈むまでしばし待ち、その後公園内で成体のアカテガニを観察し、更に普段関係者以外立ち入り禁止の干潟へと移動し、放仔を観察…というスケジュールでした。

展望塔からの夕日20170819
↑展望塔から望む夕日。ここでは望遠鏡でシギ類などを観察。

公園内で『アカテガニなど見た事もない』という人達と一緒にアカテガニを観察したり、写真撮りたい人のために捕獲したりしました。写真あまり撮ってないですが…。

野鳥園臨港緑地のアカテガニ1-20170819

野鳥園臨港緑地のアカテガニ2-20170819
↑このアカテガニは他の人が捕獲したもの。
野鳥園臨港緑地のアカテガニ3-20170819
↑後で確認したら、思ってた以上にピントが合っていない(^_^;)&ohの身長より高い場所まで木に登っていたアカテガニ。

で、肝心の放仔なんですが、昨日は一個体しか確認出来ませんでした(あくまで自分が確認出来た数ですが)。写真も撮れなかったです。アカテガニ放仔の瞬間を写真に収めるのは至難の業ですが、この時よりは、近い距離でゾエアが煙状にぶわっと広がる瞬間が見られたので、そういう意味では良かったです。昨日は大潮ではなかったし、公園内に出てきていたアカテガニも、講師の和田太一さんによれば普段より少なめだったそうなので、まぁ仕方がないと言えば仕方がないですね。

とは言え、大阪市内でありながら、少なからぬアカテガニが棲息している場所を直に見られたのは良かったです。

それにしても、この日のレクチャーでも聞いたし、以前淀川でカニ観察していた人も語っていたけど、大阪湾には、クロベンケイガニはいるけど、ベンケイガニ(赤くてアカテガニに似ているあれ)は何故かあまりいなくて、ここ大阪南港野鳥園でも見つかっていないという。ならば俺が…と思ったりもしたけど、プロの研究者が見つけられないものが、どうして&ohに見つけられようか…。